超遠投テクニック


はじめに
最近は各メーカーから多くの遠投用の釣り具が販売されておりますので、大半の方々はこれらを組み合わせて60m〜70mの飛距離
でカゴ釣りを楽しんでいます。しかし、喰いが渋くなってきたり、遠目でナブラが立ち始めた時などは、少しでも遠くに仕掛けを飛ばし
たいと思うのは多くの釣り人の願うところです。そこで、ここでは伊豆半島でおこなわれている”ど遠投カゴ釣り釣法”をベースにして、
更に飛距離を伸ばす為の基本的なテクニックをご紹介して行きましょう。




               
        
リールの選択     

 ●スピニングリール
  遠投性
  スピニングリールの昨今の性能向上は著しいものがあります。特にカゴ遠投を前提に考えた場合、”投げ専用スピニングリール”
   が最適です。

  一昔前は、この種のリールは自重が600g以上もあり、磯遠投竿との組み合わせでカゴ遠投するにはあまりにも重くなってしまい、
   余程の腕力の持ち主でないと振り込みが出来ないものでした。


  しかし最近では400g台と通常の小型スピニングと変わらない軽量の物が出てきており、事情は一変してきました。
   これらリールはマグネシューム合金を主体としたボディーで極めて堅牢かつ軽量が特長でして、更に遠投キャスティング用の物
  ですので、ライン放出抵抗も極限まで低減されています。その代表的なものはD社のサーフリールでしょう


  これらのスピニングリールを使っての最近のキャスティング大会での飛距離記録を見ますと、空気抵抗の少ないオモリのみの負
   荷で、勿論ウキも無しでのキャスティングですので、カゴ遠投とは異なりますがゆうに200mを超えた飛距離を出しています。これ
   を見ても、いかにライン放出抵抗が極限まで低減され、飛距離を伸ばしているかが証明されています。実際、このキャスティング
   会場で見ていると、ライン放出の音が極めて軽く、サラサラとラインが放出されて行く様は驚異的です。


  糸ヨレ対策
  スピニングは構造的にラインを螺旋状に放出される為に、糸ヨレが蓄積されてくるのが、致命的な欠点でした。最近はこの糸ヨレを
   最小限に抑えた特殊構造のラインローラーがリール自体に装着されてきており、且つ、糸ヨレに極めて強いPEラインを併用すること
   によって、殆ど糸ヨレによる悪影響、トラブル等が無くなってきています。

  道糸
  糸ヨレ対策と飛距離アップを考慮すると、PEラインの使用をお薦めします。例えば、ナイロン5号(直強力11Kg)はPEライン2号に相
   当しますので、極めて道糸を細く出来、その分、大幅に放出自のラインが受ける空気抵抗を小さく出来、一段と飛距離を伸ばすメリ
   ットになります。ただし、振り出し時の道糸に掛るストレスに耐えるために、力糸としてPE4号を15m程付けておくと安心です。

   
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         以上のようなスピニングリール仕様で、100m以上遠投しているカゴ釣り師が最近増えてきているようです。

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 ●両軸リール(スタードラッグリール、ベイトリール)
  遠投性
  
両軸リールでは仕掛けを投げると同時にスプール(糸巻き)が高速で回転し、道糸が自動的に放出されてきます。従って、スピニン
   グリールの様に仕掛けが道糸を強制的に引き出すことなく、容易に100m近くの道糸を押し出してくれるので、極めて単純に遠投が
   出来る構造になっています。

  従って、両軸タイプは遠投リールとして理想的なメカニズムと云えますが、反面、仕掛けを投げた瞬間にスプールが猛烈な高速
   回転が始まりますので、これを如何に上手にコントロール出来るかが重要なポイントになってきます。ある人がこの時の速度を測定
   してみますと、30号のオモリ負荷で道糸のリリースをすると、回転開始から約0.07〜0.08秒までの瞬間に最高回転に達しており、その
   回転数はなんと47,000rpmという超高速回転です。


  このまま放っておきますと、ラインの放出速度よりもスプールの回転速度が勝ってしまい猛烈な勢いで道糸が吹き上げてくるパーマ
   (バッククラッシュ)が発生してしまうのは、ご存じの通りです。そこで、これを防ぐためにはスプールのエッジ部を軽くサミングして回転
   スピードをコントロールし、更に着水と同時に道糸の放出が終了するのに合わせて、強くサミングしてスプールを停止させるという、こ
   の一連の動作をスムースに行うことが使いこなしの鍵となってきます。

   このサミングの動作をマスター出来れば、比較的に軽い力(スピニングリール使用に比べて)で竿を振り込んでも、かなりの遠投が
   可能になってきます。この様な両軸リールは、ベテランカゴ釣り師の多くが使用しており、100m以上の遠投をしている方が多く、又、
   使用している両軸リールは申し合わせた様に殆どA社の6500系です。

  道糸
  ライン放出がスプールの水平回転で行われる為に放出抵抗が極めて少なく、且つ、糸ヨレが発生しませんので、通常はナイロン製
   5〜6号のソフトラインで十分です。敢えて高価なPEラインを使用しないで済むのは大変ありがたいことです。(PEを使ってパーマを
   発生させてしまった場合、それを解きほどくのにナイロン糸よりも倍以上苦労します)。

       
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         以上のように両軸リールは、古くから遠投用として親しまれており、多くのベテランカゴ釣り師に愛用されています。
         弱点は常にバッククラッシュの不安があり、特に夜釣りでは着水時の様子が見えずらく、サミングのタイミングが
         ずれてしまい、ベテラン釣り師もバッククラッシュを発生させてしまうことがあります。
    
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◆竿の選択

遠投用の磯竿を選定するためには、事前に使用するリールの形式を決めておかねばなりません。スピニング用と両軸(ベイト)用では
、リールシート(リールを取り付ける所)の位置、使用ガイド数等が異なってくるからです。使用リールの形式を決めた上で、次の条件に
あった竿を選ぶことが大切です。


  遠投竿の条件
  遠投する為の原動力は、竿の弾性力(反発力)です。振り込んだ時に竿の中ほどから大きく弧を描くような柔らかい竿では、いくら
   強く振り込んでも、殆どの力が竿に吸収されてしまい、竿の反発力が生かせず、飛距離は期待できません。
   従って、遠投竿の条件は、
      
     ■腰が強く、バネの強い先調子のもの。
     ■竿の適合オモリ負荷が10〜15号位の遠投竿であること。
     ■竿の長さ/重さ は体力にもよりますが、5.3m/400g前後が無難です。

   このような条件を前提に竿選びをされることをお薦めします。一昔前は、これらに合った竿がなく伊豆地方の多くの釣り具店でオリ
   ジナル竿が製作(厳密にはメーカー竿の改造ですが)されていました。(現在でもごく一部のお店で継続販売されています)
   現在販売されているメーカーの中では、G社製とD社製がカゴ釣り専用竿を出しており、遠投性に優れたものです。

◆超遠投タックルの組み合わせ

前述の条件でリール、竿が決まりますと、これらと組み合わせられる当社のHEKシリーズ、DSKシリーズのカゴ・ウキによって遠投し
やすい重量バランスとなり、いよいよ超遠投のスタートとなります。実際の組み合わせ例をご参考にご自身に合った釣りスタイルを作り
上げられることを願っています。


  
投げ方
   参考までに、ど遠投をしているカゴ釣り師の投げ方を記述しておきます。(上手くすべてを表現できていないことをお許しください。)


        
 ▼頭上を通過するときに道糸をリリースする
     






■右腕をまっすぐ伸ばす。
■左手を若干まげて、竿尻をしっかり握る。
  (90度まで曲げてはいけない)
■肩の高さに竿を水平に構える。
■投げる時、目標は海ではなく視線より60度上(11時方向)に向けて投げる。
■投げている時、左手は若干引き下ろし気味にし、竿の回転を補佐する。
■穂先が頭上を通過するときに道糸をリリースする。
■竿が11時のの方向になった瞬間で、それ以上竿が振り下らないようにしっかりと止める。



  
 **  少しでも参考になれば幸いです。 **